相場格言第12条|見込み極まりたる時は

高き時は皆な其の気になずみて、人々の言葉に移り、目先に迷ふものなり。
見込み極まりたる時は人に謀らず、我も二度思慮を加えず、速やかに商内すべし。

出典・引用
白隠老人著「相場策戦学」148/158
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商家秘録

白隠老人著「相場策戦学」148/158

総じて投機する人の習として、下り詰めたる所にては、弱材料を言ひすごし、上り詰めたる所にては、強材料のみを言ひ尽すを常とせり。
高き時は皆な其の気になずみて、人々の言葉に移り、目先に迷ふものなり。
この時、大丈夫の勇猛決定の心を発し、一心顛動なく勘弁工夫を凝らすべきことなり。
志丈夫ならざれば、一旦高下の利を考へて、思惑を立つると雖も、又た途中にて挫折して手を出さず、或いは人と相談して迷いを起し、折角の思惑を乱し、終に出遅れとなり、後にて相場思惑通りに来るとき、後悔する類い多し。
天井底などは、一年に二度か三度ならではなき事なれば、其の圏を外して、又た再び其の機会は得難きことなり。
一生に今一度なき所と思い、其の節の考え肝要なり。
見込み極まりたる時は人に謀らず、我も二度思慮を加えず、速やかに商内すべし。
若し其の商い誤りならば速やかに改むべし。
よく思い計って、善と思い込みたる時は、何事にも迷ふべからず、油断すべからず。
今日見込みつきたる相場も、早や明日は、多少にても思惑通り高下する時には、出遅れて迷ひとなり、遂に手を出さず、後悔すること多きものなり。

商家秘録の一節。

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