高島易断所著「米相場必勝宝典」187/266
相場持合の時、うっかり慰みに商ひ仕掛けることあり、甚だ宜しからず、慎むべきなり。
この商ひ強ひて初念の思ひ入れ離れ難き者なり。
余程黒人ならで見切り出来ざる者なり。
例へば百両売り付け候て少々上がる時、最初踏み出しの百両分に念を残して買ふことを忘れ、又々売り重ねる心になるなり。
段々上がる時は此処にて売りならしすべしと売り込む故、自然金高成りかさみ、後々は売り返しも買い返しも自由ならず大事に及ぶなり。
付き出し商ひを慰みの様にうっかり仕掛ける商ひより発るなり。
例えば百両分仕掛ける共容易に心得べき者なり。
得と米の通ひ運びを見定め作割金割等を考え売買共付き出し申すべき事なり。
相場好きの人は兎角商いを休むことを知らず、無暗に手を出して大事を引き起こすことを戒めたのである。
是れは期米株式の別なく相場を為す人の肝に銘ずべきことである。